おとうちん

宮崎出身、アメリカ在住、なんちゃってデータサイエンティストが農業、データ解析、バイリンガル子育ての話でも

農業のカンファレンスAgtech summitに行ってきました!その3

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写真はSteve Forbesと州知事のEric Holcomb。

 

日本にも起業したり、勇気ある行動をされている方がたくさんいますが、アメリカの起業家精神には感心します。今回のカンファレンスでも沢山の個人のスタートアップ、大学のスタートアップ、中小企業が展示やデモをしていました。

 

8割以上はセンサー、ロボティックス、データ解析関連。例えばドローンや小型無人飛行機で空撮をして地図とリンクさせて生育が悪いところを特定する、害虫なのか判断する。自動運転の車で土壌のサンプルを回収する。ハチの巣箱に入っている蜂の数を赤外線センサーの画像から推定する。外部電源なしでセンサーデータを中継局に送信する(これ、以前調査したんですが、難しいことだと思ってました。電池とわずかな小型太陽電池でできるそうです)などなど。

 

 

大学のスタートアップは地元公立大学prude universityから。中国人が多かった印象ですね。インディアナポリス空港にある無数の太陽電池パネルにもPrude Univがからんでいるそうです。

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Prude Univの学長は前前州知事のMitch Daniels(共和党)。ちなみに前州知事は現副大統領のMike Pense(おーこわ)。 インディアナをはじめ中西部は共和党の州ですね。Mitchさんと現知事のEric HolcombさんはForbes会長と対談してました。Forbes会長さん、いきなり「民間の活力のためには余計なものはいらない。消費税は下げられないのか」と現州知事になかなかの斬り込み。州知事は道路、インターネット、コンピューターサイエンスへの公共投資を主張していました。ところでForbesは共和党寄り、現政権の批判などは聞かれませんでした。参加者との会話では大豆価格の下落などの話をちらちら聞きましたが、公に批判をする人はいません。11月の中間選挙、どうなるのかな?

 

政治に話がそれましたので、技術の話に戻しましょう。

 

CorviumというFood safety softwareのスタートップの社長さんなど、沢山の人が農業、食料のサプライチェーンはunder investedだからチャンスがある、と主張していました。一方で大きな会社がすでに入ってきてるんですよね。一つはIBM。

www.ibm.com

恥ずかしながら、社内の比較的管理されたデータが得られる状況で仕事していると、ブロックチェーンってピンときませんでした。膨大な計算してマイニングだの、非中央集権だの、自分の仕事には関係なさそうかなぁなんて。でも食のサプライチェーンには相性が良さそう。各自が物、注文、お金のやり取りをアップロードして、データをどこまで公にするかも各自がコントロールできるんですって。詳しく勉強してみたくなりました。

Cortevaもかなり大きな会社でデジタルソリューションにも投資をしているみたい。

www.corteva.com

 

スタートアップってなかなか難しいって改めて思いますね。

 

私も今のような大企業のエンジニアでいいのかなぁと考えることもありますが、具体的な問題の近くにいてソリューションを提案出来て、当たれば大規模に展開できるという意味ではいいポジションではあるんですよね。でもそのうち農業や医療の仕事もしてみたいし、Non-Profitやスタートアップも面白そうだと思います。とりあえず、今回何社かに手伝うよー、って言ってみました。

 

ということでAgtech Summitのレポートはこれでおしまい。個人的には楽しい社会勉強になりました。それではー。

 

そうそう、起業家と言えば、もんげーバナナの田中さんが一番もんげーと思います。今度日本に帰国したら岡山に行ってみたい。

co-trip.jp

 

 

 

 

 

農業のカンファレンスAgtech summitに行ってきました!その2

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道路わきに広がる大豆畑、ところどころ雑木林の島があり、そこに農家の家があるようでした。 見渡せる範囲に農地の境界があり、大きいけど、驚くほどでもないという印象。 調べてみると、インディアナの農地の平均は256エーカー。大体1キロ四方。 www.hoosieragtoday.com

実験農地の真ん中にBecksの施設がありました。 Becksはトウモロコシ、大豆、小麦などの種の会社です。 地元の農家に土地にあった品種のミックスを提案しているようでした。 プレゼンはトラクターにひかれて屋外で。 f:id:OhToeChin:20180929025741j:plain

研究農地での成果もアピールしてて、種を植える間隔を2次元で最適化しただけで何%イールドが上がったとか。 (逆にそこは今までやってなかったんかい!と突っ込みたくもなりましたが、トラクターの制約とかもあるのでしょう、、多分) カンファレンスでも種に関するセッションがあったのですが、話はイールドとか生産性とかの視点ばかり。 聴衆から他の視点はないのか、と突っ込みが入ったのですが、たんぱく質の質とかも気にしてる、みたいな返答。 日本なら味を気にするだろうに、アメリカの農業は全く気にしてないみたい。

アメリカの農業はこれでいいんだと思います。 2050年までに20億人増える世界の人口を俺たちが食わせる!みたいな話があちらこちらでありました。 Vertical Farmingというセッションもあって、管理された室内で縦にスペースを使って作物を育てる話もあったんですが こちらで強調されてたのはどちらかというと消費地の近くで育てられるというメリット。 遺伝子組み換えに関してはLEDライトでよく育つ品種を作るニーズが増えるだろうとの話でした。

一方、日本は食のセキュリティは考えないといけないけど、商売としては味とか安全にこだわるのは正解だと思う。 アメリカ人って、いろんな種類の食べ物を食べて、これは美味しい、って話をする人がいる一方、じゃがいもと牛肉以外は薦めれてても食べたがらない人がいるんですよね。 これは僕の仮説なんですが、小さいころにいろんな食べ物を食べなかったら味覚が発達しないんじゃないかな? 日本の美味しい食べ物はアジアの富裕層では人気らしいけど、欧米に売るにはキャンペーンやって子供にただで日本の旨いものを食べさせる、って戦略は有効だと思う。 味の分かる子供が、また食べたい!ってきっとなるよ。

もう一点Becksの役員さんが話してたのは太陽光エネルギーへのシフト。 とにかくその方が合理的だという話でした。 www.indystar.com

そんじゃ今日はこの辺で。 次回はアメリカの起業家精神とブロックチェーンの話でもしようかと考えてます。

そうそう。このカンファレンス、経済紙Forbes主催ですが、イベントはDKC NewsというPublic Relationのコンサル会社?が受け持ってました。 見学を受け入れた企業は社会的なイメージを高めるために自社のアピールをしてた感じですね。それはそれで、こちらも勉強になってよかったです。 今年シアトルで行われたIEEEの学会に参加しましたが、基本的に大学の先生たちが主催しているみたいでした。 ボーイングのツアーなどもあって面白かったんだけど、専門の会社に任せるところは任せた方が、先生たちも雑務減るし、カンファレンスは面白くなるんじゃないかなぁ。

農業のカンファレンスAgtech summitに行ってきました!その1

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はじめまして。

宮崎出身アメリカ在住なんちゃってデータサイエンスエンジニアのおとうちんです。

 

子供たちに出張レポートを書くという話になりまして、ブログデビューしちゃいます。第一弾、agtech summit @ indianapolisを数回に分けてレポートします。農業のカンファレスですね。

www.forbes.com

 

えぇ、仕事は製造業です。個人的に農業に興味がありまして、有給取って個人参加です。で、ん?農業?おとうちん何やってんの?という話になったわけです・・・

 

場所はインディアナ州、インディアナポリス。

ちなみに英語ではインディナ、インディアナーポリス、と意外なところにアクセントがあります。

息子君たち、場所を地図で確認するように!

 

初日はまずElancoを見学しました。

www.elanco.com

家畜、ペットの健康問題を扱う会社で、神戸にも支所があります。R&Dは人間の治療・製薬の認可プロセスとあんまり変わらないらしく(ほんとか?)、担当当局も3つぐらい絡んでくるのでその辺がややこしいみたいな話をしてました。この見学で少し驚いたのは、Elanco Pulse Instituteというソーシャルメディアを分析する専門の部署があるということ。blog, facebook, twitterなどでElancoのことや食のことがどう話されているかを定量的に分析するそうです。Netbaseという会社のサービスを使っているということ。

www.netbase.com

 

実は最近会社でTopic Modelingをしているので、どんな手法やパッケージを使ってるのか聞きたくて、「僕はStructure Topic ModelingとstmというRのlibraryを使って・・」と切り出してみました。

www.structuraltopicmodel.com

 

「は?」って顔をされました。データを取って来たり、モデルを作ったりってところはすべてサービス会社がやってくれてるようです。分析結果かそれに近いデータはダウンロードして加工できるとのことでした。

分析の例として出していたのは指定した食のキーワードが話題にされた数を拾ってきて、去年と今年の比較とかしてたんだけど、センチメント(いい意味で話題にされているか悪い意味で話題にされてるか)は出てなくて、データ分析屋としてはもうちょっと突っ込みたくなる内容でした。

ちなみに世界展開している会社ですが、分析対象は英語だけですって。

それでも畜産関係の会社が(と言っては失礼ですが)ソーシャルメディアを分析しているとは驚きました。

 

思い出すのは故郷宮崎の宮崎牛。プロモーションのための分析とか、やってみたいなぁ。

 

午後はBeck'sの見学に向かって郊外の大豆畑を脇に見ながら移動。続きはその2で!

Beck's Hybrids

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そうそう、バスで隣に座ってたおじさんから聞いた話。

養鶏場で出る鶏の毛の廃棄物。プラスチックに変えられるけど洗浄が問題だったとのこと。友達がこれをうまく洗えるようにして拡大しようとしてるとか。

gizmodo.com

トウモロコシの芯を再利用する工場に投資してうまくいったっていうおじさんにも会ったことあるけど、こういう廃棄物を利用するアイディアって量が出るなら成功するのかも。